ドッグフードで虫歯になる?ウエットフードの落とし穴
愛犬の口がくさい、歯が茶色く変色している、歯磨きをしてもなかなか改善しないなど愛犬の口内トラブルのお悩みが後を絶ちません。口内にトラブルが起こると痛みや違和感はもちろん毎日の食事にも辛い思いが続きます。実はこの口内トラブルは毎日食べているドッグフードが原因になっていることが少なくありません。今回は口内トラブルにつながらないドッグフードの選び方をご説明させていただきます。
美味しそうなドッグフードには増粘剤が
ドッグフードの原材料表示をチェックするとき
・増粘剤
・増粘多糖類
・でんぷん
などの言葉が書かれていることがあります。一見有害とは思えない成分名ですが実はこの成分が愛犬の口内トラブルと大きく関係しています。
増粘剤とは主にウエットフードやジャーキーなどに使用され、原材料を成型したり、ゼリー状に固めるための成分です。野菜入りのウエットフードで人参やグリーンピース、インゲンなどの野菜が角切りや丸い原型をとどめたままで製品化されているのはこの成分の効果です。ドッグフードは大きな工場の機械で数t規模で原材料を混ぜ合わせますから、野菜のように柔らかい成分は当然製造過程で原型が無くなり、目で見ても配合されていることを確認することはできません。でも原型でカラフルな色や形が確認できる製品の方が飼い主目線で見ると好印象を受けます。つまり増粘剤を用いて製造するのは愛犬の健康のためではなく、飼い主へのアピールでしかありません。
増粘剤が口内にもたらす悪循環
増粘剤入りのドッグフードを愛犬が食べると、咀嚼するたびに歯の表面に増粘剤が付着します。増粘剤は吸着性が高く唾液で洗い流されずに歯の表面に残留します。この残留した増粘剤に次から次へとドッグフードや食べ物の粉末が吸着され続けることで、次第に歯の表面に食べかすが残留し、雑菌が増殖し始めます。
犬の唾液には洗浄殺菌効果があり、歯磨きをしなくても口内を正常な状態に保つことできる自浄機能があります。しかし人工的に作られた増粘剤は唾液では洗い流すことができません。
この悪循環を続けていると、愛犬が2,3歳を迎えるころには口臭が強くなり、歯の表面は茶色く変色し始めます。歯の表面に触れるとざらざらとした感触や異物による凹凸がある場合、すでに歯垢や歯石が蓄積してしまった結果です。残念ながらこの状態を自宅のお手入れだけで解消することはできないので、早期に動物病院を受診しましょう。
ウエットフードを選ぶときは増粘剤不使用の製品を
ドッグフードには必ず原材料表記があります。この欄にはすべての原材料名が記載されていて、どんなに微量であっても必ず記載されています。
増粘剤を使用しているウエットフードやオヤツかどうかを見極めるには、この原材料表示欄を確認すれば明確です。名称は増粘剤や増粘多糖類、でんぷん類など変わることがあっても効果は同じことです。
ウエットフードは増々高品質化が進み、見栄えや華やかさ、保存期間の長さよりも愛犬の健康を重視する製品が主流になってきています。増粘剤不使用で安心して与えることのできるウエットフードもたくさんあるのでぜひ安全第一で選びましょう。
ウエットフードを食べると虫歯になる?
ウエットフードを与え続けると虫歯になるという情報を耳にされたことがある方も多いでしょう。厳密には犬は人間と歯の構造が異なるので虫歯にはなりません。ただ歯垢や歯石の付着が悪化し重度の口内トラブルが起き、抜歯や歯茎の手術が必要になることはあります。
ウエットフードを与え方ことがこのようなトラブルの原因ではなく、その成分に原因があります。シニアや様々な理由からドライフードを食べることができない愛犬のドッグフード選びには増粘剤や同様の成分の配合有無をしっかりとチェックしましょう。